HINAKAです。
『ハイスクール・フリート』の最終回記事、これほど手間と時間が掛かるとは、本当に情けない。
それにしても、多くの《旧日本海軍・戦艦「大和」》を題材にした映像作品があり、「九一式徹甲弾」の威力やそれを放つ46センチ主砲の事は、描かれる事が定番となっている。それなのに、この砲弾のもう一つの特徴と言える、「水中弾」としての機能に関しては、映像化されているのを、見た事が無い。
それを今回、このような形でまざまざと見せつけられ、唖然というよりは、己が間抜けさに呆然としている。
もちろんそもそもは、肝心の九一式徹甲弾の活躍(実用発射)の機会が、余りにも少なかったのだから、仕方が無いと言えば言えるのだが…。
更にこれを機会に、大和型は空母に改装された、信濃まで好きな身の上としては、本当に情けない事に実際の射程距離!に関して、ここまで無知だった事に驚いている。まさに、旧日本海軍首脳部の机上の空論と言える、「アウトレンジ戦法」にまんまと引っ掛かった、大間抜けだろう。
いかに42キロ(ほぼマラソンの距離と一緒!)を飛ぶ、砲弾であろうとも、狙いが付けられ無いのでは意味が無い!
そしていかに、当時から現代にいたるまでの、最大の照準装置であり、距離測定器でもある幅15mの測距儀を、海面からおよそ20mの高さの、艦橋の上に置いても40km先は水平線の向こう側。
見えるのは水平線手前の、せいぜい20km先まで。どう考えても、見えないそれも揺れる海上で、速く動く的に当たるとは思えない。
何も無い海面では、陸地のように着弾観測手が、密かに着弾地点をを正確に捕捉し、射撃指揮所に目標との誤差や、狙い方を指示出来るハズも無い。
見えない相手に、砲弾を当てる事など、出来るハズも無い。最初から大和型の主砲は、空から観測する事ができる制空権。海面から直接観測できる、制海権を確保した上で初めて意味を持って来る。ほとんど役に立たなかったレーダーも、相手は自動射撃装置に連動して、正確性と速射性に優れたレーダー照準器として、月の無い闇の夜間でも、昼間と同じ射撃精度を見せた。
武蔵も肝心の徹甲弾は、1発も撃つ事無く。
大和も、実戦で一体何発撃てたのか?特に、問題があったとされる、第3砲塔は?文字通り、その主砲の為に失った味方の命の数と、本来奪うべはずだった敵の命の数、どちらが多かったのか?と、問いたくなる。
本来想定された、海上砲撃戦闘はこのようなものであったハズという、無理と無茶とを強引に正統化して、統合したよく似た別の世界。
その世界で、その非常識な常識すら超えたレベルの海上戦闘で、遂に死者・重傷者ゼロでの勝利と言う、奇跡を描いたこの作品は同時に、余りにも重く辛い現実を突き付けている。イヤ、問いかけているのかも、知れない。
戦闘は、エンターティメント。
架空現実での遊びで、満足しておくべきだと。
それにしても、疲れた。